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2005年 04月 27日
ここ何年も前から小説は読まない。最近はもっぱら読むのは新書だ。新書とは「文庫より少し大きめの型で、軽い教養ものや小説などをおさめた叢書」のことだ。こないだ誰かに「新書を読め!」と言ったら、「新しい本ですか〜」と言うから、「いやいや、そうじゃなくて岩波新書とかあるやん。文庫本より大きくて」と説明するのだが、通じない。寂しかった。 こないだの朝日新聞で新書のことが載っていた。もともと新書はアカデミックな研究成果を一般人向けに廉価で発行されたものだ。ということで難しい研究内容を分かりやすく書かれているハズなのだが、それがなかなか難しくて、反芻してして読んだものだ。最近は、そんな教養主義的なものよりも実用的な新書が増えている。最近はいろんな出版社から新書が発行され、大型書店の新書コーナーを覗いてみると読んでみたくなる本がいっぱいある。で、値段も手頃だからついつい何冊も買ってしまう。最近読んだのでおもしろかったのは、「樋口一葉『いやだ!』と云ふ 」。著者は田中優子だ。樋口一葉は最近お札になったこともあり、誰もが知っている超有名人だが、果たして彼女が書いた「にごりえ」とか「たけくらべ」とか読んだひとはどれだけいるのだろう。文語体で書かれているから、多くのひとは読んでないのではないか。読んだとしても、いまいち内容がしみじみ伝わってこないのではないか。かく言う私もそのひとりだ。 これら一葉の作品を田中優子が解説している。 一葉は当主として生活力のない母や妹の面倒を見るため、「小説」を書いてそれを生業にしようとした。小説を書いて喰うという今でも無謀と思われることを、男尊女卑の時代にやろうとした。あちこちで借金してたぶん家計は火の車だったろうと思われるが、それでも書くことにしがみつき、ようやく世に認められるようになったと思ったら、肺病で24歳の若さで亡くなってしまった。 ここで「にごりえ」に出てくる有名な一文を紹介。 「あゝ嫌だ嫌だ嫌だ、何うしたなら人の声も聞えない物の音もしない、静かな、静かな、自分の心も何もぼうつとして物思ひのない処へ行かれるであらう」...、今も昔も生きることのしんどさは変わらないね。 そういう類のちょっとした発見が新書にはある。最近の新書は社会問題を扱ったものも多く、自分の視野を広げるのにはうってつけなのだ。 とはいっても、新書の40代から50代以上が圧倒的だという。騙されたと思ってぜひ本屋の新書コーナーに足を運んでほしい。タイトルを眺めるだけでも楽しいよ! 文:小龍包
by omoshirogaru
| 2005-04-27 02:31
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